務へと転換することが不可欠であったが、MAGICの導入に伴う抜本的な業務プロセスの改善により、「ペーパーワーク80%、住民サービス20%」から「住民サービス80%、ペーパーワーク20%」への逆転が可能になった。
<人>
MAGIC導入の効果は住民サービスの向上のみにとどまらず、職員のモチベーション向上にも大いに役立つことになった。業務の質の転換は、「機械的に作業の山を崩す」状態から「住民との接点を追求する」業務形態への変革をもたらし、職員の仕事への満足感は高まり、結果的には転職率は年間35%から16%以下に低下した。
<業務>
MAGICに要請された使命のうち、「抜本的な業務プロセスの改善」と「徹底的な自動化」を実現するために、入念な業務分析が行われた。その結果、審査に必要な質問項目の特定、該当する規則の照会、資格有無の決定、給付額の計算及び必要書類の作成等の業務機能をシステムが代替することになった。主な達成効果を次にあげる。
・申請者に対する面談及び審査業務に要する期間が3週間から48時間に短縮された。
・750種類にものぼった資格選考書類は400種類にまで削減した。
・膨大な規則の検索業務が不要となった。
・給付額計算の精度が向上した。
・資格選考者の担当サービス範囲が拡大した。
・面談終了時点で申請者は資格有無のみならず、給付額まで知った上で帰宅することが可能になった。
・資格選考者が申請者と協力しながら選考を進めていく形式となるため、選考に対する申請者の潜在的な不信感が減少した。
<技術>
MAGICに要請された使命のうち、「徹底的な自動化」を「極力安価」に実現するために採用された情報技術については、二つの側面から述べたい。
・AI(人工知能)技術を使用したエキスパート・システム
エキスパート・システムは、ある課題に対して与えられた情報をもとに、実際のエキスパート(専門家)がとるであろう意思決定と同様の回答を提示するようにシステムが構築されている。これにより膨大な数で複雑な資格選考に際し、誰もがエキスパートと同様の回答を簡単に得ることが可能となったり、未経験者に対する研
前ページ 目次へ 次ページ